PEUGEOT – 106 RALLYE

 オープンしてもうすぐ2年が経うとしていますが(本文書き下ろし当時)、今までにワングレードで一番販売しているのが、何とPEUGEOT106RALLYEです!1台目が入庫したのが平成10年1月23日でしたから、ほぼ1ヶ月に1台近くも入庫していることになります!!!

 私自身が、当時新車で販売をしていましたから少しは入るだろうと思っていましたが、まさかここまでとは・・・・。もちろん、自分自身も大好きな車ですし、ロッソコルサのイメージにも合っていたからかもしれません。

 PEUGEOT106RALLYEはもともと競技のベース車両として生まれてきました。私は最初「RALLYE」と聞いたときにPEUGEOT205Rallyeを思い出しました。この世界に入ってからフランス車を知った私にはPEUGEOT205GTI(当時は1.6リッターが主流でしたが)やRENAULT5GT-TURBOに乗って「フランス車ってこんなに面白いの!!!」とある種のカルチャーショックを受け、フランス車の「洗礼」を浴びたばかりでした。その頃あの205Rallyeに会ってしまったのです。

 ツインウエーバーキャブを1300ccの小さなエンジンのバルクヘッド側にくっつけて、豪快な吸気音をまき散らしながら天井知らずに昇っていくタコメーターの針を一気にレッドゾーンまで回すと、頭の中は真っ白になっていました。軽い車体にパワーは無いけれどレスポンスの良い元気なエンジンの組み合わせは、走るのが好きな人にはたまらない魅力でした。そんなラリー体験が、否が応でも106RALLYEへの期待を膨らませていきました。

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 初めて会った106RALLYEは、やはり真っ白なボディをまとい新世代のプジョーの顔が印象的でした。最初に気づいたのがリアワイパーがついていることでした。205Rallyeにはリアワイパーすらついていなかったのです。時代の流れかとは思いましたが、106RALLYEにはシガーライターがついていませんでした。

 エンジンをかけるとさすがに現代のインジェクションエンジン、イグニッションをひねるだけで安定したアイドリングを直ぐさま始めます。排気音は特にうるさいでもなく、プジョー独特のポロポロと乾いた音です。

 走り始めると直ぐに感じたのがボディ剛性の高さです。設計年次の違い以上に205Rallyeと較べるとしっかりとしています。その上足廻りもしゃきっとして、ここにもボディ剛性の高さが良い影響をあたえています。ちなみに、106RALLYEのFrショックアッパーマウントは、180度位置を換えることが出来、キャスター角をターマック用、グラベル用と換えることが出来ます。

 また、特筆すべきはエンジンで、205Rallyeでは低速トルクは諦めざるを得ませんでしたが、106RALLYEの1300cc、100psのエンジンは「本当に1300cc!?」と思わせるくらいに低速から車体を押してくれます。その上高回転まで一気に回ってしまうのですから、脱帽ものです!また、ファイナルを下げたクロスミッションがこのエンジンにドンピシャで、ワインディングやサーキットでは、まさに水を得た魚で痛快このうえなしです!

 以前の205Rallyeでは、ツインキャブが諸刃の刃で気むずかしい為、乗り手を選ぶ車でしたが、106RALLYEではフランス車初心者の方でも、安心して楽しんで頂けます。もともと壊れるところが少ないのも一因でしょうが故障が圧倒的に少ないことも、106RALLYEの良いところです。日頃乗るためのメンテナンスに追われてチューニングまで手が回らないなんてことは、106RALLYEではありません。

 エアコン付きのRALLYEもありますが、理想を言えばエアコンを付けずに乗っていただきたいです。やはりこのスーパーレスポンスのエンジンを堪能するならエアコン無しでしょう!それでも家族持ちの方や他の人を乗せなければいけない人はしょうがないでしょうけど、一人の時は是非、エアコンを切って走りましょう!!!

 軽い軽いと言っても具体的にどの位なのでしょうか?

PEUGEOT 106 RALLYE 1.3
860kg
PEUGEOT 106 RALLYE 1.6
890kg(PS、エアバック付)
PEUGEOT 106 Xsi
930kg
PEUGEOT 106 S16
980kg

 ちなみに、RALLYEにエアコンをつけると約20kg増えます。

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 ロッソコルサ一押しのPEUGEOT106RALLYE、どうですか?欲しくなりましたか?残念ながら現在では本国でもRALLYEの製造は終わってしまいましたから、現存する車だけです。私の記憶が確かなら、多分1.3で200台位、1.6は100台ないと思います。事故って潰れた物もけっこうありますから減ってしまっています。

 まさに走るために生まれてきた車、PEUGEOT106RALLYE!トラクションコントロールも、ABSもよけいな物は一切ついていない、まさにドライバー次第の本当の意味で、車を操ると言うことを味わえる車です。